真理を探究する、立教の研究力

理学部が牽引する先端的な研究活動

2019/02/15

OVERVIEW

立教大学は、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが実施している「THE世界大学ランキング2019」において、総合で国内14位(私立大学3位)、研究影響力を表す指標で同6位という高い評価を受けました。
今号では、先端的な研究を展開する理学部の取り組みを中心に、活発化する研究活動の現在について、大山秀子副総長(研究推進担当)にお話を伺いました。

評価されたのは研究の〝質〞

「THE世界大学ランキング」は、Teaching(教育)、Research(研究)、Citations(引用)、Industryincome(産業収入)、Internationaloutlook(国際化)の5つのスコアで順位を決定する国際的な大学ランキングです。世界1258の大学を対象とした2019年度版において、立教大学はCitations(引用)のスコアで国内6位を獲得しました。この指標は、過去5年間に発表された論文の被引用数、つまり「ある論文が他の論文にどれだけ引用されたか」というデータをもとに、研究の社会への影響力や貢献度を表すものです。被引用数の多さは各分野で高い評価を受けた論文が多いことを意味し、研究の〝質〞が証明された形となりました。

この論文の被引用数を、大きく牽引したのが理学部です。1949年に設置された理学部は、立教大学10学部中唯一の理系学部であり、数学科、物理学科、化学科、生命理学科の4学科を有しています。社会に直接的に役立つ研究を主眼とする工学とは異なり、物事や現象の根本にある原理を探る理学では、基礎研究が中心です。科学の本質に迫り、真理を探究する理学研究は、実用的な研究と手を携えながら、多様な形で社会の発展を支え続けてきました。
THE世界大学ランキング2019

国内外の多彩な連携により理学部が推進する高度な研究

理学部の4学科はそれぞれ各領域の第一線で活躍する教員を擁し、特色ある研究を展開しています。例えば物理学科では、素粒子・原子核分野と宇宙物理分野において、国際協力のもとで行われている研究に多数携わり、今回のランキングでも高い貢献度を示しました。素粒子・原子核分野では、アメリカ・ブルックヘブン国立研究所での大型実験に複数名の教員が参加。宇宙物理分野では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」や金星探査機「あかつき」プロジェクトに本学の教員が協力しています。

さらに、理学部が進める複数の研究プロジェクトが、各大学の特色を生かした研究を支援する文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に選定され、各分野で高い成果を上げています。その代表例が、理学研究科に付属する未来分子研究センターによるプロジェクト「設計に基づく分子自在制御の化学」で、蛍光顕微鏡の解像度を飛躍的に向上させる画期的な蛍光分子の開発に成功しました。

こうした活動を推進する上では、企業との共同研究を積極的に行うほか、「連携大学院制度」により、理化学研究所や産業技術総合研究所といった国内トップクラスの研究機関と密に連携を図っています。研究の高度化・多様化を実現すると同時に、学部学生や大学院学生にとっても、実社会や学外の研究者と触れ合う貴重な機会となっています。

「ストレスをココロとカラダから 科学する」

立教大学では理学部にとどまらず、人文・社会学分野でも先進的な研究を展開しています。学内では分野を越えた協働も行われ、理学部生命理学科と現代心理学部心理学科による「インクルーシブ・アカデミクス̶生き物とこころの『健やかさと多様性』に関する包摂的研究」は、2016年度の文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。「ストレスをココロとカラダから科学する」を掲げるこの研究は、ストレスに対する分子・細胞レベルの解明を行うとともに、メンタルヘルス問題が発現するメカニズムを心理学的に探究し、学際融合により新たな知見を得ることを目指しています。

また、多彩な研究活動を支えているのが、研究の高度化・効率化・適正化をサポートするリサーチ・イニシアティブセンターと、学内にある32の研究機関です。持続可能な開発を目指すESD研究所や、リーダーシップ研究所をはじめ、各機関が本学の強みを生かした独自性の高い研究を展開しています。さらに、研究費助成制度や、大学院学生が海外の学会に参加するための支援制度が充実しているのも大きな特色の一つです。これらの多面的な取り組みが実を結び、文部科学省による「科学研究費助成事業」の新規採択率は、毎年高い割合を誇っています。2018年度は、研究機関別の新規採択率で私立大学中2位となりました。
科学研究費助成事業 新規採択率の推移

理学研究の出発点は身近な現象への疑問や好奇心

理学部では、池袋・新座の両中学校・高等学校において、夏季休暇期間に実験講座や出張授業を開催するほか、理数系クラブの発表会に大学の教員が参加するなど、一貫連携教育にも力を入れています。

物事の原理を解明する基礎研究は、「なぜ?」「どうして?」という身近な現象への興味や疑問が出発点になります。小中高の児童・生徒には、理科の授業や日常生活を通してさまざまなことに関心を持ち、好奇心を存分に伸ばしながら、理学的なものの見方や考え方の基礎を身に付けてほしいと考えています。

研究・教育の両面で本学の存在感を高めるために、そして研究成果を社会に還元し、大学の社会的使命を果たしていくために。AI分野の開拓など新たな試みにも着手しながら、研究活動のさらなる活性化を目指していきたいと思います。

科学的探究心を育む 立教学院の教育 理科教育や課外活動の一部をご紹介

立教小学校

理科教育
多彩な実験を通して科学的な視点や考察力を養う

小学校の理科では、多くの実験観察を行っています。新たな試みとして、「力点や作用点が多数ある場合のテコの法則の発見」などの実験において、教員主導ではなく、児童が自ら方法を考えて実践し、iPadなどを用いた発表を行っています。

立教池袋中学校・高等学校

科学部・数理研究部・生物部
国内外のコンクールで研究成果を発表

学芸部に属する理数系の3部(科学部・数理研究部・生物部)は、日々の活動や研究成果が評価され、国内だけでなく海外(フランス、シンガポール)でも研究発表を実施。メディアにも多数取り上げられ、生徒たちの熱心な研究が注目を集めています。

立教新座中学校・高等学校

化学部
第47回私学文化祭で部員の研究発表が優秀賞を受賞

毎年11月、埼玉県内の私立中高の文化部生徒が作品発表を行う「私学文化祭」が開催されています。2018年度は、化学部の関根幹人さん(高2)の研究発表「コバルト錯体の合成と分析」が優秀賞を受賞しました。

※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.31(2019年1月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。

プロフィール

PROFILE

大山 秀子

立教大学副総長(研究推進担当)
理学部化学科教授

おおやま ひでこ / スタンフォード大学客員研究員、バージニア工科大学Research Faculty、産業技術総合研究所 主任研究員などを経て、2006年立教大学理学部助教授に着任、2010年より同教授。
専門は高分子物理化学、高分子複合材料、機能性材料。