学校法人 立教学院

院長ご挨拶

「愛は、全てを完成させるきずな」 ―感謝の歴史―

院長 広田 勝一

立教学院院長 広田 勝一

東日本大震災から一年と二カ月の時を迎えようとしています。今年本学に震災という苦境の中にありつつも、入学された方々も多くいることと思います。昨年は、その年の世相を漢字ひと文字で表す語に「絆」が選ばれました。特に震災支援に関連してこの言葉は多様に用いられてきました。ただ最近、教会等では「寄り添う」「寄り添って生きる」という表現が時々用いられています。

ところでこの絆、聖書に出てくるのか気になり読んでいましたら、コロサイ書にありました。新共同訳です。「これら全てに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、全てを完成させるきずなです」(3章14節)。以前の口語訳では「愛は、全てを完全に結ぶ帯である」と訳されています。翻訳が難しい箇所です。全てを完成させる結びの帯、絆にせよ、ここには「共に結ぶもの」という意味があります。愛が絆を、帯を完成させていきます。絆は、こうした愛に基づくものであります。愛と真理に基づく共同体としての私たち、そしてわが立教学院でありたいと願うのです。

絆を絆たらしめるもの、しっかりと繋ぎ合わせる力、その原動力を私たちはどこに見出すのか、私たちにとり、それはやはり主イエスの十字架と復活にあると思います。十字架と復活の出来事は、まさに神の大いなる愛の具体的な現れです。十字架が指し示す横の線と縦の線の交差する中心に愛は存在します。この愛を基として、私たちが全ての人々と共に生き、また神と共に生きることが求められています。

さて、今年度の話題として、ここでアーサー・ロイド師に触れたいのです。現在池袋キャンパスで工事中のロイドホールに、この秋には池袋図書館がオープンとなります。大学にとり施設面では最大の大きさでしょう。昨年竣工された高層のマキムホールは、正門から見れば位置的に裏側になります。しかしロイドホールは、立教通りに面しますのでかなり目立つでしょう。この建物の名称になったロイド、立教学院総理として6年間活躍されました。自身英国人でありつつも、マキム主教の理解と支援もあり米国聖公会日本ミッションの宣教師としての働きもあります。

私がこの10数年間牧師をしてきた埼玉県の浦和諸聖徒教会もこのロイド司祭により開拓され、1899(明治32)年講義所、2年後には教会に昇格されています。以前浦和の教会100年誌を編纂し、そこでロイド司祭の存在を遅ればせながら知ったのです。また浦和にあった刑事施設(当時の監獄)での伝道も含めて、短期間でありますが、精力的な伝道活動にあたりました。

ロイドは1897年、マキム主教によって立教の総理に任命され、それまでの慶応義塾から立教に移ります。やがて宗教教育の禁止事項の訓令12号がでます。ロイドの立教でのこの訓令への対処、戦い、措置は今後も語り継がれるでしょう。ロイドの立教辞任後の4年後に、後任のタッカー師により、立教学院立教大学が誕生しますが、この基礎を確実に築いたのがロイドでもありました。マキム主教は、ロイドの働きを絶賛するとともに、3人分の仕事をしてきたと述べます。

またロイドは、ウィリアムズ主教がリッチモンドにおいて81歳で逝去された翌年、1911年10月27日に59歳の若さで逝去され、青山の外国人墓地に埋葬されました。現在は逝去100周年の年、この時にロイドホールが竣工するのも、記念すべきことでしょう。ここに「導かれた歴史」を感じます。マキム主教はロイドの逝去に当たり「この謙虚な学者で礼儀正しいキリスト教徒の紳士である情熱的な宣教師は、彼を知る人々の心に長く銘記されるでしょう」と語ります。

立教学院は、真理探究の場、共に生きる力を生み出す場であります。児童、生徒、学生、それを支える教職員、立教に関わる全ての方が、共に今日を生きる喜びに感謝したいのです。これまで我々を導き、支えてくださってきた目には見えない造り主、創造者に向かって感謝をささげましょう。学院の創立者ウィリアムズ主教は、まさにキリストに倣い、生き抜き、その生涯を持って我々の歩む道を指し示しました。ここには神のみ声、導きに応えつつ生き抜いた先達の歴史があります。しかしそれは同時に、私たちが神の恵みと導きに感謝する、いわば「感謝の歴史」となります。

感謝というこの言葉、旧約聖書の原語はヘブライ語ですが、トダーと発音します。詩編に多く出てくる言葉です。トダーは、3千年経た現在も用いられる言葉です。新約聖書にも感謝は、特にパウロの手紙によく出てきます。新約聖書の原語はギリシャ語ですが、感謝はユーカリスティアと言います。まさに神への感謝です。そしてこの言葉は、礼拝の中での聖奠(サクラメント)、つまり聖餐式も意味する言葉の広がりをもっております。

最後にパウロの言葉を心に留めたいのです。
「すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである」(Ⅰテサロニケ5:18)。

(2012年5月)

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