世界を身近に。立教小学校の新たな試み

立教小学校英語科教諭 天野 英彦先生 × 立教小学校6年A組 中根 立惺さん × 立教小学校6年B組 稲田 光胤さん × 立教小学校6年C組 大屋 高斗さん × 立教大学総長室渉外課 酒井 翔平さん

2018/06/11

OVERVIEW

2017年11月21日、立教小学校において、ネパールの小学校とオンライン会議システムをつないだ交流が行われました。5年生の児童120人が参加し、立教大学の外国人留学生とも交流しました。刺激に満ちた一日を振り返り、参加した3人の児童と授業に携わった教職員が語り合いました。

学んだ英語を「使う」経験を

ネパール・カトマンズの小学校との交流の様子

天野 立教小学校では1948年の設立当初より、1年生から英語を学び、異文化への理解・関心を育む教育を推進しています。さらに近年は加速するグローバル化を踏まえ、学んだ英語を使い、海外の文化を肌で感じる機会を増やすべくさまざまな検討を重ねていました。そこへ立教大学から今回の提案をいただき、我々としても非常に良いチャンスだと感じました。

酒井 オンライン会議システムでの交流を提案したのは、より多くの児童に、より身近な形で英語を実践的に使う体験をしてほしいと考えたからです。また、実際に海外の人とコミュニケーションする際は、語学力だけが全てではありません。たとえ文法が完璧でなくても何とか伝えようとする熱意や一歩踏み出す積極性が大切で、同じ小学生の顔を見て話す機会を通して、そうした現場感を感じてもらえたらという思いもありました。

天野 英語で意思疎通できる喜びだけでなく、伝わらない悔しさを経験することにも大きな意義があります。そのため、あえて教員は干渉しないでおこうと。児童には自分たちにできる方法で自由に交流してもらうこと、そして何より楽しんでもらうことを第一に考えて準備を進めていきました。当日は5年生(当時)の3クラスでオンライン交流したのですが、各クラスともユニークな方法でコミュニケーションをとっていましたね。

左から中根さん、稲田さん、大屋さん

中根 A組は日本の文化を伝えようと、一人が三味線を弾き、数人で民謡を歌いました。それに対し、ネパールの小学生も民族楽器の太鼓を叩いてくれて。「ドラえもんは好きですか」「普段何を食べていますか」といった質問も飛び交っていました。

稲田 B組は僕がピアノを弾いて全員でSEKAI NO OWARIの曲を歌い、向こうもネパールの歌を歌ってくれました。携帯やゲーム機を持っているかと聞いたらほとんどの人が持っていて、親近感が湧きました。

大屋 C組は手足を使って音を鳴らすボディパーカッションを披露し、演奏後はネパールの小学生が拍手をしてくれました。画面越しでにらめっこもして楽しかったです。

天野 最初に映像がつながった時、ネパールの小学生が「こんにちは!」と言ってくれて、立教生が「ナマステ!」と返し、互いに大きな歓声が上がっていましたね。みんな興味津々で、画面に近づきすぎてカメラに映らなくなってしまう人もいたくらいです(笑)

教室に窓が開き、風が吹いた

天野 今回の経験を通して、皆さんはどのようなことを感じましたか?

大屋 日本とネパールは言葉も文化も全然違うなとあらためて思いました。どの人も英語が上手で、「英語を覚えるのが楽しい」と言っていたのが印象に残っています。

中根 確かにみんな上手に英語を使いこなしていました。僕は3月にオーストラリアでの英語研修に参加する予定なので、自分ももっと頑張って勉強したいと思いました。

稲田 英語で通じ合えたことが嬉しく、学んできて良かったと思いました。また、もともとピアノや作曲が好きなので、“音楽に国境はない”ことを身をもって体験できて感動しました。僕もオーストラリアに行く予定なので、現地で機会があればピアノを弾いたりして、音楽で交流したいです。

天野 それぞれ刺激を受けたようで何よりです。その他、「驚くほど近く感じた」「同じ小学生なんだなと思った」といった声がありました。画面を共有することで心理的な距離が縮まったのでしょうし、本当に教室に窓が開いて、外の風が吹いたような感覚でしたね。

酒井 普段テレビなどで外国の人や文化に触れてはいても、同じ小学生と直接交流する経験は初めてで、新鮮に感じたのではないでしょうか。「またやりたい」という声も多かったと聞き、企画に携わった身として嬉しく思います。

天野 発言できた人もいればできなかった人もいますが、相手に伝えようと奮闘する仲間の姿を見て、一人ひとり感じるところがあったようです。また、立教小学校では3年生以上の全員がiPadminiを所持し、普段から自発的に調べる習慣が身に付いています。ネパールとの交流の前後に自ら調べ、「数年前に地震があったところだ」と気付いた児童もいました。これまでは遠い存在だった世界の動きを、より身近に感じるきっかけにもなったのかもしれません。

多様性にも触れた一日

天野 同日に、立教大学の外国人留学生9人と児童の交流の場も設けました。さまざまな出身国の留学生と触れ合うことで、ここでは“英語だけが全てではない”という別の気付きがあったと思います。ドイツ語もあれば、フランス語や中国語もある。この一日で多様な言葉や文化に触れ、視野が大きく広がったのではないでしょうか。

酒井 留学生からもまたやりたいという声が多いので、さまざまな形での交流をぜひ継続していきたいですね。

天野 どちらとも児童が積極的に楽しんでくれたことが一番の収穫だったと思います。これからは海外に出て活躍する人だけに留まらず、日本国内においても異なる国籍や文化背景を持つ人々と共に学び働く場面が増えていきます。そこで一歩前へ踏み出せる力、柔軟にコミュニケーションできる力を育むため、今後もさまざまな試みを検討していきたいと思います。
※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.29(2018年5月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。